「種を蒔く」ってこんな感じ
「心地よい動き」を通して神経系に働きかけることで
脳と身体のコミュニケーションをよりよくしていく手法ですが、
普段レッスンを受けていくことは、「種を蒔く」ことに似ていると感じます。
フェルデンクライス・メソッドのレッスンを受けていて、
ある日突然、「より楽な動き」や「より質の高い動き」ができるようになった、
という経験をされる方、結構いらっしゃいます。
レッスンを通じて自分の身体の中に蒔いてきた種が
芽を出した🌱、花開いた🌸瞬間、とでもいうのでしょうか。
プラクティショナー(講師)が「理想の形」を教えることは一切なく、
その人自身の「学び」の成果が、ただ自然に、しかも突如として現れるのが
このメソッドの面白いところです。
○ ○ ○
ささやかな一例ですが、トレーニング生時代の私にも訪れた
「その瞬間」をご紹介してみます。
ある日、寝転がって本を読んでいたときのこと。
「お茶を飲もう♪」とキッチンに行こうとして、
「何だ、今の!?」と自分の動きに驚いたことがありました。
いつもの私なら、
(我が家の施術モデル、リリーちゃんです)
ここ↑ から、
こんな風に↑ お尻をかかとのほうに動かして、ゆっくり起き上がっていました。
「ふぅ~」とひと仕事です。
が、その日の私は、
左脚を床から上げ、その足裏を右脚の向こう側に着くようにしながら
クルっと身体を反転させ、気が付けばキッチンのほうに向かって座っていました。
「お茶飲もう」と思い立ってからここまで、1秒もあったかどうか。
あまりにも自然で楽な動きに、文字通り「驚愕」して、
何が起こったのか理解するために、
もう一度ゆっくり動きを振り返りながら、床に戻ったくらいです(笑)。
楽に起き上がろうとか、効率よく起き上がろうとか、
これっぽっちも考えませんでした。
ただただ、お茶を飲みたかった(^^)
○ ○ ○
レッスンでは、なじみのある自分の身体を使って、
なじみのある動きから、そうでない動きまで(笑)、
様々な動きを、小さく、楽な範囲で試していきます。
この、いわば「カラダ遊び」で学んだ、
脳と身体のコミュニケーションの多様なパターンが蓄積され、
たくさんの引き出しができたところで、
身体が「最適解」を見せてくれる、
上記はそのひとつの例なのかなと思います。
なんとも不思議な、面白いメソッドです。
(こばやし・記)