「いま・ここからどこへでも行ける」カラダ
ボディーワークをしていると、「いい姿勢」についてよく聞かれます。
もちろん、解剖学的に“理想的な形”というのはありますが、
「いい姿勢」という言葉はほとんど使いません。
そこを基準にしたり、ゴールに定めたりもしません。
それぞれの人の身体には歴史があり、使いかたの癖もあり、
それらを無視して「理想の形」を作っても、そこは安住の地ではないからです。
フェルデンクライス・メソッドにおいて
身体を観察する際に重視するのは、
「いま・ここからどこへでも行ける」かどうかです。
レッスンでは、「ニュートラルに戻ってください」と言われたり、
「そこはニュートラルですか?」といった問いかけをされたりすることがあります。
いま取っている姿勢から、右へ行くのは楽だけど、
左へ行くには「よっこらしょ!」と労力が発生するのであれば、
そこは「ニュートラル」ではありません。
フェルデンクライス・メソッドでいう「ニュートラル」は、
その場から、どの方向にも等しく楽に向かうことができる、
そんな中間地点のことなのです。
その「ニュートラル」は、不要な力みが抜けて、
楽に居られる場所でもあります。
自分にとっての「ニュートラル」がどんどん更新され、
身体が整っていくことで、結果として、
「いわゆるいい姿勢」に近づいていくものなのかも……。
仲間の姿を見ながらそんなことを思う、
フェルデンクライス・メソッド11年目の夏です(^^)
(こばやし・記)